声の網 265ページの衝撃

この衝撃を上手く伝えられるだろうか?

作家の想像力は時に時代を超越する。

 

声の網とは

 

星新一氏が1970年に書いた小説である。家の固定電話で何でもできるようになった世界でメロンマンションというマンションの住人12人、一人々々に対しての12の短編からなっており、7つ目の話までは謎の声によって翻弄される人びとが書かれ謎の声は何なのか?が中心の内容、8つ目で謎の声の正体が判明し、9つ目からは謎の声への恐怖を煽り立てる内容と大まかに分かれている。

 

265ページの衝撃

 

この小説は今の情報化社会の様相をことごとく予言しているのである。

たとえば、この作品では黒電話を使って、銀行でお金の入出金ができる、ある商品の説明や、流行について知れる、音楽が聴けるなどができる。これは今日のpcである。また、電話はコンピュータにつながっており、コンピュータが相互につながりあっている。これはインターネットである。さらに、個人情報の売買や、あらゆるデータが重要な意味を持つ、あらゆるパソコンに入っているデータの情報を使い犯人を捜すなど、インターネット、pcによってもたらされる物事を言い当てている。そして、特筆すべき点はこの環境下において人間がどんな心境、行動をとるのかについて考察がすばらしい。

例えば、10話において、電話から真実か嘘かわからない誰かの噂が流れ、皆が不安に陥るという話がある。これを読むと私たちが日々感じている情報の海で泳ぐ感覚、多くの情報のどれが本当なのかわからなくなる感覚を、上手く表現している。また、秘密というものがとても重要になり、それを誰かに知られているかもしれないというセキュリティ問題に対する不安も的確に描写している。

 

終わりに

 

この作品は書店で新人賞受賞作と題して売られていたとしても、皆、何も疑問を抱かない、全く色あせていない作品だと私は思う。

ぜひ、この本を買い、私たちの生活を過去から見透かされているという奇妙な感覚、鳥肌ものの恐怖と感動をぜひ皆にも味わってもらいたい。